ある家族からのおたより

ある家族からのおたより

 母は後期高齢者住宅に入居してからも、視力が落ちているわけでもないのですが、蛍光灯や日照りの強い日はまぶしくて食事なども見えにくくて、食堂では黒いお茶碗にして貰ったり、メニューの名前を一品ずつ説明してもらったり、切り分けてもらったりしています。

 メガネは普段は黄色いものをかけていますが、食事の時はレンズの上が黒っぽくて下が白いものを作ってもらってかけ直しています。この季節は部屋のカーテンを開けることはほとんどありません。

神坂真佐子さんの体験談を読んで

神坂真佐子さんの体験談を読んで

 神坂真佐子さんの体験談を読ませていただいた。3月15日の神戸アイセンター見学会で初めてお目にかかった方である。その時は忘れ物をされるなどしたため、世話の焼ける「お婆さん」という印象を受けた。

 

 ところが、そうした第一印象とは違って、体験談に書かれた内容は示唆に富む点が多い。労作である。目が不自由なことを嘆かずに、色々と挑戦されている姿に感動を覚えた。

 

 先ず、第一に家族のことが書かれている。息子さんが、車の運転による事故を心配して住まいを兵庫県の三田から、車がなくても生活できる大阪の京橋近くの放出という所にあるマンションに引っ越された。しかも新しい住まいに便利な病院をネットで探し出す。難病の患者にとっては家族の支援は欠かすことが出来ない。

 

 息子さんの年齢は分からないが、おそらく50歳代の働き盛りだと思う。仕事から疲れて帰って、眼の不自由な母が作った料理をだまって食べておられる姿は目に浮かぶようだ。

 

 医療機関については、批判的な言葉はないが、問題点が浮かび上がる。折角診てもらおうと行った眼科や病院でたらい回しされる。同じ眼科でも専門が違うと言って診察を断られる。病院には白内障や緑内障のパンフレットは置いてあるが、加齢黄斑変性のチラシは置いていない事実などが浮かび上がった。

 

 両眼だけでなく脊柱管狭窄や肺炎などを患いながら、家に引きこもらず積極的に体や頭を使って若さを保つ努力をしておられる。老犬を散歩に連れ出したり、歌を歌う会に出たり、筋トレや脳トレなど積極的である。さらに驚いたことは、アイパッドを使いこなしていることだ。メールを通じての友人との会話や、息子やお孫さんとラインでつながり、心豊かな生活を送っておられる。とても83歳の女性とは思えない若さである。

 

 一日も早く先進的医療が実用化し、「お料理を目でも味わいたい」という夢が、夢でなくなることを願いたい。この体験談は、多くの高齢の患者や家族に病気とどのように向き合うかのヒントを与えてくれる。一人でも多くの人が読んで下さることを願うばかりである。

(高田 忍)

エビ茶色のポンポン帽子

エビ茶色のポンポン帽子

 いつも行くスーパーにある用品店でエビ茶色の毛糸の帽子を見かけました。トップに同色の大きなポンポンがついています。ほしいと思いましたが、その日は買わずに帰宅しました。

 

 77歳になる婆さんが小さな女の子が被るような帽子がどうしても欲しくて、次の日お店に行きました。

 

 鏡に向かって被ってみる。「アーラ似合うやんか」。迷わず買いました。いくつか持っている冬帽子はどれも黒っぽいものなのできれいなエビ茶のポンポン付き帽子が自分のモノになってうれしがっています。

 

 つばがないので目を患って日差しを避けたい私は良いお天気の日は被ることはしませんが、どんよりと雲のたれこめた寒い日はこのポンポン帽子でお出かけするのを楽しんでいます。

 

(Fさん、78歳女性、滋賀県)