かかりつけ医

かかりつけ医

山本先生との出会い

髙田 忍

受けてよかった人間ドック

 今から20年ほど前のことである。定年から半年たったころ、右の親指に痛みを感じ、病院に飛び込んだ。病名は痛風である。定年を控えた2年間、水より安いビールの国、ドイツで過したことが原因と思われる。

 その病院を選んだのは、40歳から毎年人間ドックの検診を受けていたからである。勤務先の健康保険組合が補助金を出してくれた。健康データの継続性を考え、定年後も同じ病院で検診を受けてきた。

 人間ドックを受けてよかったと思うことが二つある。2009年の検診で尿酸値が高いことが判明した。半年の経過観察の後、精密な検査が行われ前立せんがんと判明した。早期に発見し、放射線治療を受けた。

 もう一つは2014年8月の終わり、早朝パソコンに電源を入れると、右枠が歪んで見えた。幸いなことに二日後の金曜日に人間ドックを予約していた。眼科の田中医師に、歪みを伝えると、翌週の水曜日に検査をして加齢黄斑変性と判明した。その日のうちに注射の治療を受けた。そのおかげで、8年たった今でも視力は低下せず、車の運転も続けている。

 

時間がかかる病院

 最初、痛風の診察をしていただいたのは内分泌内科は副院長、南先生であった。その後、先生が代わり、最近は丹波先生、杉山先生の世話になった。

 人間ドックは病気を見つけてくれる。高脂血症、腎臓、甲状腺の薬が処方された。やがて、病院は採血と採尿をし薬をもらいに行くところとなった。医師は処方箋を印刷するだけである。そのために半日以上も費やす。病院が始まる8時半に受付しても、すでに大勢の患者が待合室にいる。採血までに1時間、結果が出るまでにさらに1時間から1時間半、診察と会計を終えて、薬局に行くと1時間待たされる。時計を見ると12時に近い。

 これが、三か月に一度の頻度で繰り返される。何も総合病院でなくてもできることではないか。コロナの感染が広がっている中で、長時間、大勢の人で混み合う待合室にいるのは不安になる。

クリニックに転院

 そんな思いでいたとき、同じ病院の別の内科の医師が電車で二駅の隣の町にクリニックを開院することを知った。病院の医師に紹介状を書いてもらって、このクリニックに代わることにした。待合室には一人いるか、いないこともある。コロナの心配をする必要もない。診察から薬を受け取るまで、わずか1時間で済んだ。

 今までと大きく異なる点が二つある。

一つは、聴診器を胸と背中に充ててくれることである。この間、医師との会話ができる。

二つ目は、診察がひと月に一回と増えたことである。

 ただし、検査のための採血採尿は2か月に一回である。採血のない月でも聴診器を当て、変わったことがないか聞いてくれる。いつも見守っていてくれるようで安心できる。

 このような先生には80年の人生で初めて出会った。

 先生の名前は山本先生という。